最高裁判所第二小法廷 昭和41年(オ)255号 判決 1972年6月30日
上告人
株式会社青和銀行
右代表者
片山強
右訴訟代理人
寺井俊正
被上告人
株式会社弘前相互銀行
右代表者
唐牛敏世
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人寺井俊正の上告理由第一点について。
所論の点に関し、原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、不動産の競売申立に際し、競売法二四条二項三号により申立債権の表示が必要とされるのは、被担保債権がいかなる債権であるかを明らかにするためであるから、その表示の程度は、これを特定しうる程度で足り、申立債権の額の表示は、債権額を限定する意義を有するものではなく、したがつて、被上告人は、その申立債権額に制限されることなく、これを超えて本件(一)ないし(四)の土地の競売代金から被上告人の被担保債権につき配当を受けることができる旨の原審の判断は正当として是認するに足り、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)に所論の違法はないから、論旨は採用することができない。
同第二点について。
原判決に徴すれば、原審は、本件(一)ないし(六)の全物件について一括競売がなされた旨の上告人の主張事実は当事者間に争いがないが、しかし、一括して競売に付する旨の売却条件は、異なる債権者の先順位根抵当権の目的たる(五)、(六)の建物については効力を生ぜず、本件競売においては、本件(一)ないし(四)の土地についての一括競売と(五)、(六)の建物についての個別競売が併行して行なわれたものと解すべき旨の判断をしていることが明らかであり、右判断は、右の点に関し原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。
同第三点について。
所論の点に関し、原審の適法に確定した事実関係のもとにおいては、原審の判断は是認しえないものではなく、原判決に所論の違法はないから、論旨は採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(村上朝一 色川幸太郎 岡原昌男 小川信雄)